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藤沢医院通信blog

フランス大会の総括

今回は、ラグビーワールドカップのフランス大会を総括したいと思います。
10月29日の早朝に行われた前回優勝の南アフリカ対ニュージーランドの一戦を観戦し 、この通信を書いています。単刀直入に感想を申し上げるとすれば、“世界最高の2チーム の激しい肉弾戦だった”です。まるで至る所で相撲の立ち合いが行われているような、まさ に筋肉と筋肉のぶつかり合いでした。今回の大会を観戦されてお気づきになった方もいる かと思いますが、選手の体を守るために頭や首を痛めるような高い姿勢でぶつかるタック ルはイエローカードで10分間の退場、またはレッドカードでその試合を全て退場すると いう判定が下されました。決勝戦も、この判定により前半でニュージーランドのキャプテ ンがレッドカードを受けて退場となり、残りの半分以上を15人対14人の劣勢で戦うこ とになりました。しかもキャプテンは、チームの精神的支柱です。ニュージーランドが優 勝すると予想していた私は、「これは痛い!厳しい!」と思ったのですが、彼らは不屈の 闘志で劣勢を感じさせないぶつかり合いを継続しました。お互いのタックル(守り)が素 晴らしすぎて、トライはニュージーランドがあげた1つのみ、あとはキックによる点数し か入らず結果は12対11。かろうじて、1点差で南アフリカが連覇を果たしました。現 在のラグビーは華麗に点数を取り合うのがトレンドなのですが、力が拮抗した王者同士で はトライがなかなか取れないことを改めて実感しました。
 さて、今回“エベレスト制覇=世界一”を目標に掲げてフランスに乗り込んだジャパンで すが、結果的にベスト8を前に敗退することになりました。決勝戦の観戦を受けてジャパ ンの実力を当てはめてみると、優勝できる可能性は現時点では“ない”と言わざるを得ませ ん。
比較論で申し上げると、ジャパンにガチンコ対決で勝ったアルゼンチンが、準優勝したニ ュージーランドにガチンコの肉弾戦を挑んで44対6で大敗しました。私がジャパンの MVPと考えるリーチ・マイケルが10人いれば勝負になるかもしれませんが、個々のポ ジションで職人技を必要とするので、これでも勝てないでしょう。
 今後のジャパンラグビーを強くするために、1つポイントがあります。なんと最高峰の 南アフリカから7人、ニュージーランドから6人と13人ものトッププレイヤーが、日本 に移籍して12月から開催されるトップリーグに参戦するのです。もともと参加している 南アフリカの闘争心丸出し9番、デクラークに加えて、「えっ、この人が・・・」と思う ような中心メンバーが来ます。我々のお膝元であるトヨタ自動車にも、ニュージーランド の超大物である9番:アーロン・スミスと10番:ボーデン・バレットが来ます。彼らか ら世界一のラグビーを学んで、肌で感じることができるのです。目の前の“先生”から多く の技や精神力を学んでほしいものです。
 何度も言いますが、2015年のワールドカップで『世紀の番狂わせ』と言われてジャ パンが南アフリカを破った際のチームドクターは、私(13番)とセンターを組んだ高澤 祐治君(12番、現順天堂大学スポーツ健康科学部教授)でした。また、ジャパンの14 番だった福岡賢樹君は、順天堂大学の医学部で勉学に励んでいます。
私はジャパンラグビ ーを応援せずにはいられないのです!

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