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ラグビーワールドカップ フランス大会

 今回は、現在開催されているラグビーワールドカップのフランス大会について書きます。
ジャパンは、世界一の山である“エベレスト登頂”すなわち世界一を目標にして合宿をスタートさせました。エベレストを制覇するためには、いくつかのベースキャンプを設置しますが、大会前に敢行された地獄の合宿がまさにベースキャンプに例えらます。中でも千葉県浦安市で行われた一次合宿は、メンバー全員が“過去一きつい!”と言った特訓が行われました。朝一番の練習で、メンバーが1対1のタイマン勝負で取っ組み合って倒し合いをするのです。1時間ぶっ通しで行われるのですが、この間水分補給は禁止、そして誰一人膝に手を当てて休むことも禁止されました。朝一でこれは、選手もたまったものではありません。おかげで首や顔には絆創膏だらけ・・・。私も学生時代のラグビー合宿で、練習後にまともに立って階段が上がれず、這ってよじ登ったことを思い出しましたが、日本最高峰の選手にとっては比較にならないほどのダメージを受けたことでしょう。おかげで30℃を超える中で行われた初戦のチリ戦では、相手が後半に足がつって動けなくなる場面を多数見ましたが、ジャパンで膝に手をついて休んでいる選手は誰もいませんでした。
 2戦目の超格上であるイングランド戦が、1つの山場でした。ジャパンはスクラムも負けずに後半まで戦略プランを実行していましたが、1つのプレーをきっかけに負けてしまいました。イングランドが前にボールを弾いて“ノッコン”の反則で日本ボール、と誰もが思って足を止めてしまいましたが、ビデオ判定でボールは頭に当たって前に飛んだので反則とならずにイングランドのトライ(点数)が認められたのでした。このプレーを境目にして、イングランドは点数を重ねて勝利、日本にとってはとても不運な出来事でした。
 さて、今回のチームキャプテンは、愛知県の中部大春日ヶ丘高校出身でトヨタ自動車所属の姫野選手です。彼の代名詞は相手のボールをかいな力で奪い取る“ジャッカル”ですが、大事な局面でこのプレーが発揮されています。でもでも、このチームの中心は、やはりリーチ・マイケルです。彼は満身創痍(ジャージの下はテーピングだらけ)でフィールドに立っていますが、ピンチの局面でのタックルやボールを持っての前進はリーチがNo.1です。
 そして今、私は9月29日のジャパンV.S.サモアの激戦が終わってすぐにこの記事を書いています。ジャパンの組織力V.S.サモアの個の突進力により最後は28対22の接戦になりましたが、やはりあの辛い合宿を乗り越えて仲間をサポートする力が上回ったと言えます。おそらくジャパンとサモアが15人対15人で相撲を取ったら、大敗すると思います。でも、ラグビーでは負けませんでした。リーチ・マイケルは、今日も大柄な相手の膝下にタックルして前進を許しませんでした。リーチが身を挺して相手の足を止めている間に、仲間が上半身に突進するのです。前回の東京大会で決めたチームのスローガンである“One Team(チーム一丸)”から、今回の“Our Team(私たちのチーム)”を示した場面と言えます。
私は、ラグビーを医学部時代に経験したことで『自己犠牲心』を強く養うことが出来ました。それが今の地域医療に活かされていることは、言うまでもありません。最後の大一番、強敵アルゼンチンへの勝利に向けて、舞台は整ったと言えます。

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