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お正月の風物詩

  今回は、私が愛してやまないお正月の風物詩である『箱根駅伝』について書きます。

まずは、学生3大駅伝の1つである『出雲駅伝』は全長45.1㎞の高速駅伝ですが、神在月である10月に800万の神々が集まる出雲大社をスタートして行われます。この大会は、駅伝新興勢力である東京国際大学がヴィンセント選手という大砲を擁して初優勝を飾りました。このヴィンセント選手はケニア出身の大学3年生ですが、1年生のときには箱根駅伝の3区を走りこれまでの記録を2分も短縮する区間新記録でデビューを果たしました。また、今年の正月はエース区間である2区を走り、1時間5分49秒の驚異的な新記録を打ち立て、最優秀選手に与えられる金栗四三杯(金栗三四:日本のマラソンの父と呼ばれる人物で、NHKの『いだてん』でも取り上げられた)を留学生として初めて受賞しました。おそらく彼は、過去の日本人・留学生を含むすべての選手の中で史上最強選手です。次のオリンピックパリ大会にケニア代表の長距離選手として選出されると思いますので、皆さん彼の名前を覚えておいてください。

 さて、私の応援する順天堂大学ですが、出雲駅伝は10位と惨敗しました。しかも、島根県出身でオリンピック後に初の地元凱旋となるエースの三浦龍司君は、オリンピック後の疲れを考慮されて出走を取りやめました。皆さんもご存知のとおり、彼は東京オリンピックの3000m障害で日本人初の7位入賞を果たしました。因みに、10代で決勝に出場していたのは彼だけです。次のパリ大会では、有力な金メダル候補に挙がることは間違いありません。三浦君は今回初めて外国人選手と走ったわけですが、彼は既に1つの大学の選手ではなく、日本の大事なオリンピック強化選手になりました。今後は、海外遠征で武者修行に励む機会が増えていくことでしょう。順天堂大学の駅伝監督で、箱根駅伝で最後に優勝した時のメンバー(このときに5区で初代“山の神”と言われた今井正人君と同級生で、診察室に彼らの色紙があります)でもある長門俊介君は、「三浦選手には3000m障害につながるための練習をさせる。」と話しています。したがって、三浦君はエースでありながら、箱根の2区や5区などのエース区間を走ることは今後もないでしょう。

 続く『全日本大学駅伝』ですが、熱田神宮から伊勢神宮までの106.8㎞を8人の選手で走破します。全国の大学が箱根駅伝に出場する強豪校に挑むとい図式ですが、最後は下馬評の高かった駒澤大学と青山学院大学の一騎打ちとなり、わずかな差で駒澤大学が接戦を制しました。我が順天堂大学は、2区で区間賞を獲得した三浦君の好走もあり、20年ぶりに3位の表彰台に上がることができました。解説車で実況をしていた住友電工の監督でもある渡辺康之さん(現役時代は早稲田大学の大エース)が三浦君の走りを見て「本当にきれいなフォームで無駄が全くない」といい、陸上界のドンである瀬古利彦さんは「三浦君、走り終わって疲れた表情を1回も見たことないんだけど、疲れた?」と話しかけていました。そう、前にも記事にしましたが、彼が走り終わってヘトヘトになっているところを私は1回も見たことがありません。車でいう車載しているエンジンがみんなと違うんだと思います。

 私の予想では、三浦君は今年も箱根駅伝で1区を走ると思われます。昨年は初出場で区間10位でしたから、その悔しさをバネにして最後は独走状態の驚異的なスパートで2区のエースに襷をつないでくれるでしょう。大本命は駒澤大学ですが、順天堂大学も往路を走る5人は過去最強と言っても過言ではありません。すべてのメンバーのコンディションが整えば、テレビ画面を独占する可能性もありますから、期待して観てください。

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