新型コロナウイルス感染症のワクチン接種
今月は、今一番の話題となっている新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について書きます。
昨日のニュースでは、世界で新型コロナウイルスに感染した人が1億人を超えたと聞きました。およそ世界の人口が78億人ですから、単純に78人に1人が罹患したことになります。しかし皆さんご存知の通り症状が出なくても感染している若者はあちこちにいると思いますから、潜在的な数を含めるとこの数字以上に感染者がいることは間違いないわけです。因みにアメリカの感染者数は約2500万人ですから、感染者の4人に1人はアメリカ在住ということになります。
さて、現在海外の大手製薬会社3社からワクチンを買い付ける方向で話が進んでいますが、それぞれが異なるワクチンであるため地方の自治体はてんやわんやしています。親分であるワクチン担当大臣の河野さんも「ワクチンがいつどれだけ手に入るかわからない。」とこんな感じですから、子分である自治体はかなり混乱しています。
確実に言えることは、今までのインフルエンザワクチンの接種とは全く異なるということです。65歳以上の人は、例えば藤沢医院であれば接種期間にいつでもインフルエンザワクチンの注射ができました。しかし結論から申し上げると、今回65歳以上の人は自分の都合がいい日に藤沢医院で打てなくなります。なぜかというと最初に供給されるであろうファイザー社のワクチンは―75℃の冷凍庫で輸送して、ドライアイスの入ったボックスや冷蔵庫に分けられます。当然注射前に解凍するわけですが、解凍後6時間以内に接種しなければいけません。しかも東浦町などの自治体には約1170人分を1つの単位として供給されるのですが、これを10日以内に打つことが必要なのです。つまりワクチンの特性上、保管場所が限られかつ短期間に多くの方に接種するためには大きな会場を設置して行う集団接種が一番いい方法なのです。
今東浦町の医師会は保健センターと一体になって密に連絡を取りながら、3月末あるいは4月から始まる65歳以上の高齢者への接種について検討を重ねています。現在有力な接種候補地は“文化センター”ですが、候補地が増える可能性もあります。因みに現在東浦町の65歳以上の人口は12,813人で、16~64歳は3万人ちょっとです。65歳以上のうち8,000人前後が接種するであろうと考えて、水曜日・木曜日・土曜日の午後、そして日曜日の午前・午後に数名の医師と看護師・保健師に出務してもらう予定であり、町の職員も一体となって準備を進めているところです。もちろん会場に足を運べない高齢者もたくさんいます。老人ホームやグループホーム、障がい者施設などに入所されている方や訪問診療を受けている患者さんも、どういう方法で接種できるか今一生懸命考えています。
これは順調にワクチン接種が進んだとしても、間違いなく半年以上かかる壮大な事業です。私たちが生きている中では、後にも先にもこれ1回きりのの経験かもしれません。東京オリンピック・パラリンピックが無事に開催されるかどうかもまだ定かではありませんが、開催させるためには開催国である日本のワクチン接種が鍵を握ることは間違いないと思います。