藤沢医院

藤沢医院通信blog

新型コロナウイルス

 今回は世間を騒がせている“新型コロナウイルス”による肺炎の現状について書きます。

中国で約1100万人の人口をもつ武漢市の海鮮卸売市場から発生した新型肺炎ですが、そこではコウモリ、タケネズミ、ダチョウ、ワニの子、ハリネズミなど何十種類もの野生動物が生きたまま、あるいは殺処分した状態で売られているそうです。こうした野生動物の売買は、約20年前に致死率の高いコロナウイルスが重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を引き起こしており、新たな伝染病を引き起こす恐れがあると警告されていました。医療研究者らは、SARSの流行について、コウモリを発生源とするウイルスが、ハクビシンを仲介役として人間に感染したと結論付けています。中国当局はまだ、今回の流行の元になった生物種について特定していませんが、中国の研究所が発表した患者さんのサンプル検査によれば、コウモリのコロナウイルスと96%の遺伝子と一致したようです。

 日本でも2009年に“新型インフルエンザ”が流行したことを皆さんは覚えているでしょうか?私は当時東京の大学病院に勤務していましたが、今テレビで宇宙服のようなものを着て診察している中国の医師のように、防護服とゴーグルを何十回と着用して診察をしました。病院の中に“発熱外来”と称して診察室をつくり、今流行しているインフルエンザと同じく患者さんの喉に綿棒を入れて検体を採取、提出した国立感染症研究所からの結果が届くまで患者さんに診察室でお待ちいただきました。あまりの暑さと自分の汗でゴーグルが曇り汗が溜まったことを今でもよく思い出します。

 因みに前年の2008年に妻夫木聡さんと檀れいさんが主演で、 未知の感染症(感染源はコウモリ)を題材にした“感染列島”という映画が上映されました。当時兼任していた感染対策室の看護師さんらと、映画館までこの映画を見に行きました。また、2011年にアメリカで製作された“コンテイジョン(意味は接触感染)”という映画もコウモリを原因とする未知の感染症を題材とした作品でした。

 今回新型肺炎に感染した患者さんと同乗したバスの運転手とバスガイドさんが、同じ肺炎と診断されて入院しています。皆さんも特に、バスや電車、乗用車など複数の人と一定時間以上の空間を共有する場所は、インフルエンザと同様に危険です。基本的に人が多く集まる場所に出かける際も、原則マスクを着用して外出することをお勧めします。また、こまめに手洗い(アルコール消毒はなお良い)やうがいをすることも併せてお願いします。

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