藤沢医院

藤沢医院通信blog

ツイッター

 皆さん、コロナウイルス感染症により大きな制約を受ける生活となりましたが、本当にご苦労様です。ようやく日本全国で緊急事態宣言が解除され、これから私たちは新しい生活様式を模索していくことになります。第一波が終息して、これから秋・冬の第二・三波に向けて準備していくわけですが、早く有効なワクチンと治療薬が手元に届くことを祈るばかりです。

 さて、今回は若者の間ではやっている“ツイッター”により匿名の誹謗中傷を多数受けて悩んだ末に、22歳という若さで自ら命を絶ったプロレスラーの木村 花さんについて触れます。花さんは“スターダム”という女子プロレス団体に所属しており、将来を有望視されていました。それもそのはず母親の木村響子さんは元プロレスラーで、元父親が総合格闘家であったことから、格闘技をやるためのDNAがもともと備わっていたわけです。

 自殺のきっかけとなったのは“テラスハウス”というテレビ番組で、若い男女6人がひとつ屋根の下で暮らす中で生まれる人間関係や恋心を放送するのですが、その中で起こったある事件です。花さんは試合で着る大事なコスチュームを洗濯機の中に忘れてしまい、それを知らずに共演者の男性が自分と衣類と一緒に洗濯して乾燥機にかけました。結果、彼女のコスチュームは縮んでしまい、2度と着ることが出来なくなってしまったのです。怒った花さんは、烈火のごとく彼を罵倒し、最後には彼が被っていた帽子を「ふざけた帽子を被ってんじゃねえ!」と跳ね上げてしまいました。この事件をきっかけに、彼女を攻撃する誹謗中傷が多い日は100件以上書き込まれたのです。“死ね”“消えろ”“気持ち悪い”などの言葉の数々・・・。そして彼女は愛しい母や猫への言葉を残して、一人で旅立ちました。サッカーの本田圭佑選手は、すぐに反応しました。「誹謗中傷を弱い人に向けるな!やりたければ俺に来い!」と・・・。その他にも多数の有名人がコメントを寄せました。世間への拡がりを察した政府は、すぐさま高市早苗総務相に命じて悪質な投稿者を特定しやすくするための制度づくりを早急に取り組むと方針を出しました。

 私は、相手が見えない言葉の暴力やいじめはとても恐ろしいと感じています。昔は、少なくともいじめっ子は目の前にいました。ここで、私が受けた忘れることのできないいじめについて書きます。私は父が勤務する病院が変更になったことで保育園・幼稚園を3ヶ所、小学校を3ヶ所通いました。小学2年生で岐阜市内に転校した初日、私の隣には笑顔が似合う学級委員の男の子が座っていました。“よろしくね!”と握手をしてくれた彼の笑顔は今でも忘れません。しかし学校が終わって正門を出ると、彼は子分2人を引き連れて私を待ち伏せし、3人で20分間代わるがわる私のランドセルを蹴り続けました。前の日に両親と登下校の練習で歩いた道を、翌日私は号泣しながら帰ることになったのです。数日後、私は心の中で“決して弱い者いじめは認めない”と決めたのでした。その後私はとても大人しい子供として育ちましたが、いじめられっ子とは波長が合うのかよく友達になってほしいと言われました。今、どこから飛び込んでくるかわからないネットの誹謗中傷は、被害者自身が解決策を見出すのはとても難しいです。早く有効な制度ができて、“弱い者いじめ”がこの世から無くなることを切に願っています。

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