新型コロナウイルス感染症2
今回も、日本全国の皆様が心配しておられる新型コロナウイルス感染症について書きたいと思います。
感染者が急増している北海道では、鈴木知事が「緊急事態宣言」として週末の外出を控えるお願いを道民に訴えました。その前日の夜には、安倍首相が異例の声明として、3月2日から全国の小・中・高等学校への休校要請を発表しました。日々出てくる行政からの発表に、私たちは戸惑うばかりです。
国の考え方の根底はここにあります。まず第一に感染者の感染経路が追跡できない状況に移行したことです。すなわち私たちがすれ違う誰もが感染者である可能性が出てきたことです。このような状態で多くの人が集まった場合、集団感染となって感染者が爆発的に増えるわけです。この代表的な例がクルーズ船“プリンセス号”であり、韓国のある宗教団体の施設で起きた集団感染であり、イタリアでの急激な感染者の増加もこれに当たります。
コロナウイルス感染症の潜伏期間(ウイルスが体内に侵入してから発症するまでの期間)は、現時点で約12.5日と言われています。今わかっている感染者の何倍もの人が、この潜伏期間にあるわけですが、この人たちが約2週間大人しく過ごして他人にうつすことがなければ、現在の混乱は急速に収束するはずです。ですから国は、これからの2週間が一番大事と言っているのです。しかしながら、現在数千人はいると思われるウイルス潜伏者の何割かは他人にうつしてしまいます。この数が少なければ少ないほど命を落とす人は少なく、収束を迎えるのは中国より明らかに早くなるのです。
安倍首相の頭の中では、恐らくオリンピック開始までの逆算が大きく働いていると思われます。中国では1月から爆発的に発生した肺炎が現在ピークを過ぎ、4月末には収束するであろうとの声明を出しました。すなわち日本で2月から本格的に感染が広がった感染が中国と同じ経過をたどった場合、収束するのは5月末という計算になります。オリンピックの開催は7月ですから、おそらく6月にはオリンピックの準備期間で入国を予定している選手団があるはずです。その時期に肺炎が収束していなければ、日本に行きたくないと考えるのは当然成り行きです。ある最古参のIOCオリンピック委員が「5月にはオリンピックの開催をどうするか決めなければいけない」との個人的な見解を出しましたが、日本がこの意見を完全に払しょくするためには、ずばり“3月が勝負の月”になるのです。もっと言うと、今から大事な1~2週間が過ぎた3月中旬に患者さんが急増していれば安倍首相が勝負に出た要請はある意味失敗、ゆるやかな増加で亡くなる方が少なければ、成功と言ってもいいでしょう。皆さん、耐えて3月の成功を祈りましょう。そして成功の鍵を握るのは、私たち一人ひとりの行動にかかっています。健康な人はマスクと手洗いを徹底し、軽い風邪症状の人はなるべく他人との接触を避けて自宅で大人しくしているのが賢明です。
現在愛知県は、感染が判明した人が30人弱で、北海道・東京に次いで全国第3位です。ということは、県内には現時点で数百人以上のウイルス潜伏者がいるはずです。また、3月に入るとコロナウイルス検査が早急に保険適応になるはずです。そうすれば検査機関が増えると思いますので、やはり3月がオリンピックを迎えるための勝負の期間と言えます。