藤沢医院

藤沢医院通信blog

イチロー選手

 今回は、やっぱり愛知県が生んだスーパースター、イチロー選手について書きます。

イチロー選手は、私が医師になった平成3年に愛工大名電高校からドラフト4位でオリックスに指名され、翌年からプロ野球選手の道を歩み始めました。オリックスでレギュラーになってからのイチロー選手の活躍は、皆さんがご存知の通りです。

 私はイチロー選手の引退試合を2試合ともテレビで観戦しましたが、2試合目の途中でこれが引退試合であると知り、午前0時前から始まった記者会見を1時20分の最後まで

見させていただきました。会見中のコメントが翌日から各テレビ局で放映されましたが、私が最も注目したコメントは、一度言うのをためらって敢えて話したアメリカと日本の野球の違いについてでした。アメリカ野球は個人の実力は抜きん出ているが、頭を使うチームプレーにおいては日本の中学生の方がひょっとすると上かもしれないと話した部分です。アメリカのこの流れはもう止めることはできないので、言うのをあきらめたとイチロー選手。日本の頭を使って考える野球だけは、決して変わってはいけない、アメリカに追従してはいけないと・・・・。これは、非常に衝撃的なコメントでした。ともすれば、アメリカのメディアにたたかれるのではないかと思いました。やはり個人プレーを大事にするアメリカと、チームプレーを大事にする日本の文化の違いですね。この発言で、かつて松井秀喜さん(私が王貞治さんとともに最も好きな野球選手)がレフトフライをスライディングキャッチしようとして骨折したときのことを思い出しました。松井選手は「私の骨折でチームを離脱して迷惑をかけることが申し訳ない」と発言したのですが、日本人としては最もなコメントです。しかしアメリカではこの発言に対して、「自分が大怪我をしたのに、チームのことを心配するなんて何て奴だ!」と言われたのです。さすが、アメリカですね。

 「喝!」の張本さんが、イチロー選手の一番すごいところは「どの球に対しても最短距離でバットが出るところ」と言っていましたが、今回の日本の試合でイチロー選手が衰えた部分として私が感じた部分と同じ指摘をしていました。それは“動体視力”です。45歳のイチロー選手はきっと老眼も入ってきているはずです。それ以上に動体視力は、野球選手にとっては最も大事な部分です。すなわち、目で見たボールの軌跡を一瞬で脳で処理してバットを出すわけです。この能力が衰えると、当然バットの芯でボールを捉えることができなくなります。「センター前ヒットならいつでも打てる」と豪語するほどバットコントロールに秀でていたイチロー選手が、苦しんでいる姿を見てそう思いました。

とは言っても、日米通算4.367安打で通算打率が何と3割2分2厘です。安打数は当然世界一なのですが、この打率は驚異的です。だって、どんなすごい選手も出始めと引退前の数年は当然打率が低いわけです。1シーズンで打率が3割2分2厘でも相当なヒットメーカーなのに、通算でこの数字です。しかもくせ球が多いアメリカの方がプレー期間が長いのです。

イチロー選手、恐るべしです。本当にご苦労様でした。弓子夫人と二人から名前をとった愛犬の“一弓(いっきゅう):推定100歳以上の柴犬”もご苦労様でした。

«
一覧へ
»