藤沢医院

藤沢医院通信blog

ラグビー

 今回は、私が最も愛するスポーツであるラグビーについて書きます。

 私は本気で、“ラグビーをやり遂げた人間に悪い奴はいない”と思っています。それは、ラグビーが生半可な気持ちでできるスポーではないからです。私は大学で6年間ラグビーをやりましたが、根性のない者はみな途中で辞めていきました。それだけ痛くて辛いスポーツです。しかも、自分を犠牲にして仲間を生かす精神がないと勝てない競技です。私が最も得意とした技は“タックル”です。ボールを持っている相手の足に、肩と頭を固めて突っ込んで倒す技です。私のチームは守って守って最小得点差で勝つことを戦術にしていました。

 練習の8割は守り、すなわちタックルの練習に割かれていました。私は、本来得点をすべきバックスというポジションを任されていましたが、自分が得点を取ることはほとんどありませんでした。私が最も理想とするシーンは、私のタックルで相手が倒れてボールが転がり、それを仲間が拾って得点を取ることです。なかなかできませんでしたが・・・。

 一昨年のワールドカップで絶対的不利と言われた南アフリカ戦で、日本が一人二人と大男たちの足元にタックルを重ね、最後に逆転勝ちした試合を、私は涙を浮かべながら観ていました。自己犠牲が集約された名勝負でした。

 さて、当時の私たちの監督は世界的にも有名な小児外科の教授であられた宮野武先生で、私の師匠の1人です。医学部でありながらビンタは当たり前の指導を受けました。宮野先生のポリシーは、“守りを固めてから攻めろ”でした。これは先生が順天堂病院の院長になられてからも、全職員に課した言葉です。すなわち、患者さんにはまず安全な医療を提供する(守り)。それから最先端の技術を提供する(攻め)。外科医であった私には、安全に安全に手術を重ねてから、腹腔鏡などの最先端手術に取り組みなさいという意味です。この精神は、今の私だけでなく、将来も変わらずに受け継がれていくでしょう。

 “守り(タックル)”が最も得意であった私は、安全な医療を皆様に提供することが最も大切であると考えています。

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