日本大学アメリカンフットボール部
今回は、世間を騒がせている日本大学アメリカンフットボール部について書きます。あまりネガティブな内容は書きたくないのが本音ですが、ラグビーでタックルを最も得意?としてプレーしていた私の視点から訴えたいと思います。私の場合足は速かったのですが、相手をかわすステップが不得意であったため、相手チームの攻撃を遮断するタックルでしか自分が生き残る道はないとの結論に達し、タックルを磨くことだけに力を注ぎました。
まず、ラグビーではあのタックルはあり得ません。もし試合であのプレーが起こったとすれば、その時点で一発退場です。ラグビーは紳士のスポーツと言われており、レフリーにクレームをつけることもなければ、大げさに倒れることもありません。相手にぶつかって倒れているとすれば、本当に痛くて動けないのです。試合前から故障のないラガーマンは少なく、どこかしら怪我しているものです。少々痛くても、立ち上がって皆プレーに戻ります。
私も試合中のタックルで、相手の肋骨を折ったことがあります。また私自身も練習中に薬指が反対に90度曲がって骨折したり、倒れた瞬間に鎖骨が浮いてしまったことがあります。
鈴木大地スポーツ庁長官は私の大学時代の同級生ですが、彼のもとで車いすに乗ったラグビー部の後輩が一人働いています。彼は試合中に首の骨が折れて一時呼吸もできない状態になり、人工呼吸器の助けを借りて懸命に治療を受けました。過酷なリハビリを続けた結果、字がかけない彼を厚労省が特例で認め、特別室で国家試験を受けた結果見事に合格し、晴れて医師となったものすごい努力者です。鈴木長官は、彼の大怪我を知っているため、今回のプレーを見過ごすことができなかったのでしょう。「スポーツ庁が調査に乗り出すしかないか」と長官が言っているのは極めて異例と思いますが、実は彼の側近医師にそのような事故があったのです。
個人的には、もうあのプレーをテレビで流すのはやめてほしいです。皆さんも十分過ぎるほど見たでしょう。宮川君を守りたいのであれば、テレビ局も考えるべきです。20歳の男子は、受け止めきれないほどの社会的制裁を受けました。しかも彼は自らその道を選んだのです。ご両親の気持ちを考えると、胸が苦しくなります。身勝手な大人たちは、早く責任の所在を明らかにしてください。
怪我をした関西学院大学の選手が、早く元気になって復帰することを望みます。また、日本大学の幹部は、早く学生が元通りの生活に戻れるようにしてあげてください。
アメリカンフットボールもラグビーも、危険なスポーツであることは間違いありません。しかし選手たちは、怪我をしないように影でものすごい努力をして体を鍛えています。きちんとした指導者のもとで鍛えた体をぶつけあうからこそ、とてもやりがいがあるスポーツなのです。日大アメフト部は、よき指導者のもとで一度出直して復活することを希望します。
そうでないと、日大アメフト部を常勝軍団に鍛え上げた名監督の篠竹さんが、天国で泣いていますよ。