熊本地震
この記事を書いております本日の夕方4時台に、“令和8年熊本地震”が発生しました。被災されました皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。イオンモール熊本では、とてつもない爆発が発生し、現在も救出作業が続いております。同じイオンモールを有する東浦町民として、心が痛むばかりです。10年前の地震から復興を遂げている最中なのに・・・。先日もNHKの“ブラタモリ”で復興作業を続けている熊本城の特集を見たばかりでしたが、今回の地震でも煙を上げて石垣が崩れるシーンを目の当たりにしました。また、八代市の象徴である八代城も、無残にも崩れ落ちてしまいました。
地震災害について前にも書きましたが、改めて医師の立場で書きたいと思います。
平成7年に発生しました阪神大震災では、多くの方がお亡くなりになりましたが、死亡原因の多くは建物の倒壊・火事によるものでした。早朝の5時台はまだ寝ている人も多く、また朝食の準備で火を扱っている家庭もあり、早急な避難が難しかったと想像できます。
がれきに体を挟まれて身動きがとれない方を見つけた場合、特に手足を挟まれて長時間(2時間以上)経っている場合、そのがれきを除けることはやめてください。筋肉の圧迫により血液内にミオグロビンというたんぱく質やカリウム(電解質)が増えていきます。がれきを除けて血液の流れが再開したときに、これらが毒性物質として心臓や腎臓に悪影響を及ぼすのです。この病気は“クラッシュ(挫滅)症候群”と言われ、医師国家試験にもよく出題されます。では、どうすればいいのでしょうか?この被災者が目の前にいた場合、まずは声かけをして意識があるか確認することです。次は、人(+救急)を集めることです。声かけをしながら励ましていただければ、もう十分。あとは、参集してくれた人たちが対応してくれるでしょう。実際には、被災者に点滴を挿入して大量輸液を開始したのちに救助して、早急に高度外傷と透析にも対応可能な救急病院に搬送することになります。
車中泊や避難所での生活を強いられる方が気を付けるべき病気の1つが、“エコノミークラス症候群”です。長時間同じ体勢で寝ることが多くなりますが、足を動かさない時間が長くなると、足の静脈に血栓ができやすくなります。実際に、朝起きて車から出て立ち上がった瞬間に意識が無くなって、お亡くなりになられた方もいます。これは、立ち上がったときに血栓が心臓まで運ばれ、心臓から出て肺動脈の太い部分に詰まって重度の肺塞栓を起こしたことが原因です。肺塞栓は死亡率の高い病気であり、集中治療室で治療が必要になります。私の外来でも、足の静脈瘤に血栓を生じて痛みと炎症を伴って受診される方がいますが、『マッサージや揉みほぐすのは、止めてください。』と必ずお話します。静脈には弁があり、浅い部分の血栓が大きなまま心臓まで運ばれる可能性は高くありませんが、局所を冷却して触らないのが一番です。実際の検査としましては、超音波で血栓があるのか確認できますし、採血でも血栓を生じているか調べることができます。この猛暑の中で避難生活を強いられると、当然のごとく脱水には一番注意を払わないといけません。私は毎日のように患者さんに水分補給をお願いしていますが、脱水に傾けばそれだけ血液の粘調度が高くなり、血栓もできやすくなるのです。加えてトイレが共有となって、排泄を控えるために飲水を制限する心理も脱水に傾く大きな要因と考えられます。