北京オリンピックの女子カーリングチーム
今回は、北京オリンピックで私が最も注目した女子カーリングチームについて書きます。
オリンピックの最終日に、イギリスとの金メダルをかけた一戦に敗れて銀メダルを獲得したのですが、私と同じ名字である“藤澤五月”選手が「こんなにくやしい表彰式は初めて」と率直な意見を語ったのが、とても印象的でした。それもそのはず、日曜日の決戦は私に言わせれば、最後に投げる“スキップ”の出来の違いが大きく勝敗を分けました。藤澤選手は「私の調子が良ければ勝ち目があった。」と間違いなく思っていたはずです。それでも、みんなはこう思っています。銀メダルおめでとう!次こそ金メダルですね。
ここでカーリングについて簡単に説明したいと思いますが、1チームは4人で構成されています。リード、セカンド、サード、スキップの順に、1人2投ずつ、相手チームと交互に投げます。1チーム8投、両チームあわせて16投投げることになります。全て投げ終わると、得点をカウントして終了します。この一区切りをエンドと呼び、これを10回(10エンド)行います。試合時間は、約2時間30分です。ちなみにストーンは花崗岩でできており、重さは約20キロです。ルールがよくわからないと聞きますが、簡単に言うと最後の16投
目が終わった時点で、中央により近い側のストーン(赤または黄色)の数が点数になります。
つまり相手の8投目が終わった時点で黄色のストーンが4個中心近くにあったとしても、最終16投目で赤のストーンが一番中心に近くなった場合、赤に1点が入ることになります。ということは、最終の2投を与えられたスキップがチームのエースであり、点数を稼ぐ重要な役目を担っているわけです。藤澤選手のくやしさは、“相手のエースにガチンコ勝負で負けた”くやしさだったのです。
今回銀メダルを獲得したチーム「ロコ・ソラーレ」ですが、オリンピックの出場権を決める「北海道銀行」との5番勝負では、初戦から2連敗して土俵際に追い詰められました。30歳前後の若い彼女たちは涙にくれ、運にも見放されたと嘆いたですが、最後は開き直って怒涛の3連勝で出場権を勝ち得たのです。
ここで金メダルを獲得したイギリスですが、チームメンバーは国内で最も優秀なメンバー4人が選ばれています。野球やラグビーでいう“オールジャパン”のチーム編成と同じと思ってください。しかし、現在の日本では熟成された団結力を重視して、単独チームを代表として選出しています。つまりチームワークがいいことは、エースであるスキップが一番気持ちよく活躍できる環境を創ることになるのです。そこには技術だけではなく相性もあります。皆さんは、テレビ画面で戦略とショットをチーム全員で判断したり、補佐のサードと相談したり、時にはコーチを呼んで作戦会議を開いているところを見たことがありますよね?また、4年前には彼女たちの会話や休憩時間から「そだねー」や「もぐもぐタイム」も話題になりましたね。サードの吉田知那美選手がチームのムードメーカーであるのは、誰が見ても明らかです。彼女の声が一番よく通るため、リンクにも大きな声が響き渡りました。
彼女は、負けん気が強い藤澤選手のよき相談相手です。とはいえ、長野オリンピックまで日本もオールジャパンを編成していたため、今後はどうなるのでしょうか?
最後に國武選手、メダルまであと1歩の4位、次回こそメダルを期待しています。