乳がんについて
今回は、私の専門の1つである乳がんについて書きます。
もともと私は、おなかの中のがんである胃・大腸・肝臓・胆嚢・膵臓がんなどの手術をする外科を専門にしていました。その頃大学病院では、ドラマにあるように各科が“第一外科”“第二外科”と呼ばれ、患者さんにとっては第一と第二は何が専門で何が違うのかわかりにくいと言われていました。内科も同じですね。
順天堂大学では、平成14年に臓器別に各科の呼び名を変更しました。私が所属しておりました第二外科は、肝臓・胆嚢・膵臓の手術が専門の“肝胆膵外科”と、乳がんや体表の外科が中心の“乳腺一般外科”に分かれました。私はその後外科医として最もご指導いただいた児島邦明先生のあとに付いて、乳腺一般外科に入局し乳がんの治療を始めることになったのです。
乳がんは、現在最も女性がかかりやすいがんの1つになり、女性の十数人に1人がかかると言われています。一昨年は北斗晶さん、昨年は市川海老蔵さんの奥さんである小林麻央さんが乳がんであることを公表したことで、当院でも乳がんが心配で多くの女性患者さんが受診されました。乳がんは恐い病気であることには違いありませんが、実は何十種類もあるがんの中で予後がいいがんの1つです。早期に見つけることができれば、十分に治すことが可能です。
当院のホームページにも書きましたが、下記の点が当てはまる方や乳腺に心配がある方は、ぜひ私にご相談ください。
- 年齢が40歳以上(日本人の乳がんのピークは49~50歳です)
- 30歳以上で未婚(出産経験がない)
- 初産が30歳以上
- 閉経年齢が55歳以上
- 肥満(特に50歳以上)
- 良性の乳腺疾患(増殖性、異形性がある)の既往
- 家族(祖母、母親、姉妹)に乳がんになった人がいる
- 乳がんになったことがある
- 卵巣がんになったことがある