新型コロナウイルス感染症3
今回も“新型コロナウイルス感染症”について連載します。
とうとう安倍首相の口から東京オリンピックについて、「1年程度の延期」という発表がありました。残念ではありますが、“東京2020”というロゴは残したまま開催されるということは、我々日本人にとっては救いです。
かつて人類は、およそ100年周期で未知の感染症を克服してきました。1720年のペスト、1820年のコレラ、1918年のスペイン風邪、そして2020年の新型コロナウイルス感染症です。今このウイルスをやっつけるために、世界中が知恵を出し合ってウイルスを検出する器械の開発、予防のためのワクチン、そして治療薬の臨床研究に入っています。
医療界では、いわゆる“論文”という研究結果が世の中に発表されるまでに、早くて数か月、長いと数年もかかります。それは、その分野の専門家が数人で文章の内容や結果を吟味して、論文の手直しを筆者に要求するからです。しかし、コロナウイルスに関する論文は、日々新しいものが発表されています。これは、査読を割愛してでも役に立つ情報を世の中に発信したいという医療界の結束の現れなのです。
中国の武漢に始まり、イタリアやアメリカのニューヨーク州では患者さんの急増により医療崩壊の危機に直面しています。医者や看護師、その他の医療従事者は、患者さんが運ばれてくれば治療するのが宿命ですが、重症患者さんを助けるための人工呼吸器も全く足りていない状況です。
日本でも俳優の志村けんさんの死はとても悲しく衝撃的なニュースでした。また阪神タイガースの選手など、有名な方々の感染が発表されていますが、なぜこんなに恐怖を感じるのでしょうか?それは私たちの敵が目に見えない未知のものであり、そして終息という未来が予測できないからではないでしょうか?
今私たちができることを語るにあたり、イギリスで21歳の持病がない女性がコロナウイルス感染症でこの世を去ったのですが、悲しみに打ちひしがれる中でご家族が語った言葉に全てが集約されていると思いましたので紹介します。以下が、そのメッセージです。
「私の優しくて美しかった21歳のめいが、COVID-19で亡くなった。彼女に基礎疾患はなかった。私たちは、信じられないほど打ちのめされている。このウイルスがどれほどのものか、目の前で繰り広げられている。事態は始まったばかりです。お願い、お願いだから政府のガイドラインを守ってください。今こそ自分の役割を果たすとき、自分と周りを守るときです。ウイルスが広がっているのではなく、人がウイルスを広めているのです。」
この下線をひいた言葉が全てだと思いました。まるで得体の知れないウイルスが空気の中を漂って人々に感染していくような錯覚にとらわれますが、そうではありません。ウイルスに感染した人が、密集・密閉・密接した空間で他人にうつしているのです。
今日本はぎりぎりの状態で持ちこたえていると言われていますが、私はその理由として苦難を耐え忍ぶ日本人の国民性によるところが一番大きいと考えています。前回の通信で3月がオリンピックを迎えるための鍵になる月と書きましたが、4月こそが日本の医療崩壊を招かないようにするための本当の勝負の月になります。
今こそ見せましょう!日本の底力を!