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藤沢医院通信blog

ラグビーワールドカップ日本大会

 今回は、やはり私の大好きなラグビーワールドカップ日本大会について書きます。

4年前のイギリス大会の初戦で、日本は南アフリカに最後の最後で逆転トライを決めて勝ち、“今世紀最大の番狂わせ”と言われましたが、9月29日に行われたアイルランド戦も19対12で勝ちをおさめ、“歴史的勝利”“ジャイアントキリング再び”などと言われの日本中が歓喜に湧きました。私はこの試合をテレビで観戦していましたが、ラグビーをやっていたからこそ、この試合に勝つのはとても難しいだろうと思っていました。なぜならば対戦したアイルランドは、この大会の直前まで世界1位のチームで、しかも日本をなめていなかったからです。

 この試合で、日本チームの精神的支柱であるキャプテンのリーチ・マイケル選手は、足を痛めていたため控えにまわりました。試合が開始してから、自力に勝るアイルランドが2トライをあげて優勢に試合を進めていましたが、No.8のマフィ選手の怪我によりリーチ選手が加わってから日本チームはレベルが2段も3段もアップしたように見えました。何がすごいって、あの屈強で穴がないと言われたアイルランドを後半は0点に抑えたのです。

3年前からこの試合のために全てを犠牲にしてかけてきた日本の努力の結晶が、この後半戦に全て集約されていました。アイルランドは8人のスクラムで押せると思っていた日本を押すことができず、息が上がった選手がどんどん交代して最後にはやったことがないポジションに選手が入るというシチュエーションに追い込まれました。意思統一がなされないままに、ボールをまわしては日本にタックルで倒されるを繰り返していましたが、特にリーチ・マイケル選手のタックルは相手を後ろに押し下げるまさに“魂のタックル”でした。体力と集散に勝る日本が相手ボールを奪うのは、やがて驚きではなく“必然”に変わっていったのです。これが日本が勝つための意思統一だったのかと思いました。日本はあえてキックを蹴らずにボールをまわし、常に相手より多くの人数でボールを支配し、後半はほとんど日本がボールを支配したのです。

 私は試合の最後で、ラグビーの試合ではあり得ない光景を目にしました。最後のプレーで自陣深くでボールを奪ったアイルランドが、あろうことか自分でボールを蹴り出して試合を終わらせたのです。この時点でアイルランドはトライを取ってゴールを奪えば、19対19の同点で終わらせる可能性が残っていました。しかし、自軍の残った体力では日本からトライは奪えない、だったら7点差で終わって勝ち点1をもらおう(7点差以内の負けであれば勝ち点1がもらえる)と考えた訳です。まさにアイルランドの心を折らんばかりの日本の完勝だったと言えるでしょう。

 試合後のアイルランドのヘッドコーチの言葉が印象的でした。“日本は想像以上に強かったのではなく、想像通りに強かった”と。

 これから対サモア、対スコットランドの試合が残っていますが、決勝トーナメントに進む可能性が増してきました。皆さんも桜ジャパンの応援を、これからもよろしくお願いします。

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