藤沢医院

藤沢医院通信blog

 「看取り」について

今日は「看取り」について書きます。

「看取り」とは、患者さんの最期をお看取りすることですが、私が東京の大学病院に勤務しているとき、自宅で看取りを迎える患者さんは多くありませんでした。私が消化器の癌や乳癌を専門としておりました関係上、治らないあるいは癌が再発した患者さんの看取りを年間10件以上してきました。“先生、早く家に帰りたい”と多くの患者さんが私に話されましたが、ご家族から“身体があんな状態ですから、先生から家に帰るのは無理だと言ってやってください。”とよくお願いされました。患者さんはきっと、自宅で家族に見守られながら最期を迎えたかっただろうなあと何度も思ったものです。

 私が東浦町に帰ってきてから、ご自宅でお看取りをさせていただく機会が増えました。病院では、真っ暗になった廊下と待合室で沢山のご家族が仮眠し、疲れた表情で病室を出たり入ったりする姿を何度も見てきました。しかし、自宅ではご家族もくつろいで、ときには明るく患者さんの最期を迎えるケースが多くなってきました。これこそが本当の意味での「看取り」なのだなあと、最近強く実感しております。

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