藤沢医院

藤沢医院通信blog

“幸せホルモン”について

今回は“幸せホルモン”について書きます。私は2年前の桜が満開のある日、桜を見ると幸せな気持ちになることに初めて気が付きました。因みに、私が一番好きなスポーツはラグビー。日本代表選手のジャージのエンブレムは、そう“桜”です。桜が嫌いな日本人はいないと思いますが、私にとっては特別な花だったのです。2年前、慌ただしい気持ちで訪問診療の車を運転していたとき、石浜稲荷神社から広がる桜並木のアーケードをくぐった瞬間に、とても心が落ち着いて幸せな気持ちになりました。明らかに、特別なホルモンが出ているのを感じた瞬間でした。今まで何度も桜を見てきたのに、なぜ気が付かなかったのだろうと不思議に思いましたが、私は仕事柄“お花見”を経験したことがありませんでした。

 それから、自宅に戻ってすぐにしたこと。毎日仕事で向かい合う自室のパソコンの画面を“桜”にしました。そして、去年も今年も町内で私が勝手に思っている“桜の名所”で何度も癒されてきました。今年に至っては、当院の看護師に向かって『私が忙しくてイライラしているときは、桜の花を見せて!大人しくなるから・・・。』と言う始末。彼女らは、みな困った顔をしていました。

では、医者らしいお話を少しはしましょう。幸せホルモンにはオキシトシン、セロトニン、ドーパミン、βエンドルフィンの4種類があります。

オキシトシンは「愛のホルモン」とも呼ばれ、信頼や絆を深める役割を果たします。人との触れ合いや親しい関係がオキシトシンの分泌を促進します。好きな人にハグされたときとか・・・・。また、私の専門分野である“乳腺”に関しては、赤ちゃんが母親の乳首を吸うと、その刺激が脳に伝わって下垂体からオキシトシンが分泌されます。オキシトシンは母乳が溜まっている小葉の筋上皮細胞を収縮させて、乳首までお乳を押し出すのです。うーん、難しいですかね?皆さん、ブドウの房を想像してください。ブドウの皮が筋上皮細胞として、皮がしぼんで中身(母乳)を押し出すイメージです。因みに顕微鏡を使って病理の先生が乳癌の診断をする上で、筋上皮細胞はとても重要なのです。この筋上皮細胞がしっかり見えると『良性』、筋上皮細胞が破壊されていると『乳癌』と診断されます。

セロトニンは「幸せのホルモン」として知られ、リラックス感や安定した気分を保つのに役立ちます。日光浴や適度な運動がセロトニンの生成を助けます。1日に一度は、日光を浴びた方がいい理由の1つですね。私が桜を見たときに放出されるホルモンは、このセロトニンですね!

ドーパミンは「報酬ホルモン」として、達成感や喜びを感じる際に分泌されます。目標を達成することでドーパミンが分泌され、さらなるモチベーションが生まれます。脳内でこのドーパミンが不足することで発症する病気が『パーキンソン病』です。

βエンドルフィンは「快感ホルモン」として、ストレスを軽減し、痛みを和らげる効果があります。運動や笑うことがこのホルモンの分泌を促進します。

このように、幸せホルモンは私たちの生活において重要な役割を果たしており、それぞれのホルモンを適切に活性化させることで、より豊かで幸せな人生を送ることができるでしょう。

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