感動満載のパリオリンピック
今回は、感動満載のパリオリンピックを振り返りたいと思います。
まずは体操男子。逆転不可能な点差で臨んだ団体戦の最終種目である鉄棒。日本のエースである橋本大輝選手が着地を決めて中国を大逆転、金メダルを獲得しました。“最後まであきらめない!”と声を掛け合いながら演技していましたが、まさかまさかの大逆転金メダルでした。そしてもう1つのまさか。個人総合の金メダルは、日本のエースである橋本大輝選手と中国の張博恒選手の一騎打ちと予想されていましたが、なんと日本の新エース“岡慎之助選手”が獲得しました。驚く理由があります。彼は2年前に跳馬の着地に失敗して、右膝前十字靭帯を断裂する大けがを乗り越えての参戦だったのです。彼の体操は、倒立を含む姿勢が参加選手の誰よりも綺麗で、そして得点を左右する着地も膝で衝撃を吸収して、地面に吸い付くようにやさしくランディングするのです。この2点において、彼は際立っていました。身長が高く技の難易度が高い橋本選手とは魅せ方が異なりますが、最後は日本の伝統である“世界一美しい姿勢と着地”に女神が微笑みました(元体操部の藤澤評)。
続いて、明と暗を分けた競技。まずは“暗”から。競泳は、日本勢が獲得したメダルは男子400メートル個人メドレーの松下知之(東洋大)の銀メダル1つで、メダルなしに終わった1996年アトランタ大会以降では最も少ない数となりました。自己ベストを更新する選手も、明らかに少ない印象を受けました。松下選手の指導者であり、北島康介さんを育てた東洋大学の平井監督は、『日本の競泳陣は、皆が同じ方向を向いていない』とコメントしていました。スイマーには各々に専属のコーチがいますが、所属クラブは皆バラバラです。個人競技でありながらも、まとめ役が存在せず一致団結が得られないと、このような結果になってしまうということでしょうか?
続いて“明”。これはもう“レスリング”です。国別のメダル獲得順位は、金メダルの獲得数が優先されます。1位は常にトップ2のアメリカと中国が40個で分け合いましたが、第3位は開催国フランスの16個よりはるかに多い20個を獲得した日本でした。東京オリンピックなら話はわかりますが、パリですよ、皆さん!この中で8個の金メダルを獲得したのが、日本レスリング陣です。女子53kg級の藤波朱里選手、強かったですねーーー!藤波選手、四日市出身なんですね。8月8日の決勝戦では、10-0の圧勝で金メダルを獲得しました。なお、この勝利により中学時代からの公式戦の連勝記録を137に伸ばしたそうです。彼女が強いのには、訳があります。もともと強い上に、彼女が在籍する日本体育大学で指導を受けているのが、オリンピック4連覇を果たし、藤波選手の上をいく172連勝を達成した伊調馨(いちょう かおり)さんなのです。伊調コーチによると、入学したての頃は藤波選手をボコボコに打ち負かしたそうですが、今となっては藤波選手の足に触ることすら難しいとのこと。最強のコーチが勝てないのですから、強いはずですよね!
それからやり投げで優勝した北口榛花(はるか)選手、おめでとう!!陸上女子、初の快挙でしたね。やり投げ大国のチェコで練習し、チェコ語まで覚えてよく頑張りました。因みに彼女が競技場で寝そべって食べていたのは、セブンイレブンのカステラだそうです。